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Memo.58 (Pick Up Idol)

ここ数年の年間ベストにピックアップしたEspecia、校庭カメラガールでんぱ組.incの3組が解散または活動休止という大きな出来事から始まった2017年、今までで一番モチベーションが落ちてます。それに加えて楽曲重視なアプローチを続けていた中堅どころのグループが活動休止や体制変更を実施するなどなかなか明るい話題もなく良い音源もなくというしんどい状況が続いてたんですが、出ました。今月一気に3枚。Maison book girl、sora tob sakana、そしてPassCodeの3組の新譜が素晴らしいです。

 

Maison book girlは現代音楽変拍子ポップなサクライケンタワールドがさらに深まった『image』をリリース。「faithlessness」を筆頭に中盤には10分のインスト、そしてラストはポエトリーリーディングで締めるという、同じ世界観でもう一枚作るのは難しいだろうという予想を超えた傑作となっています。曲展開とシンクし物語を紡ぐように踊り、低体温な楽曲が徐々に熱を帯びて最後には爆発する完成されたライブも素晴らしいものでした。他のジャンルを見渡してもこれほどコンセプチュアルなグループはいないのではと思います。


sora tob sakanaは先行公開されていた「夜間飛行」やMVとなった「ribbon」を筆頭にハイスイノナサ照井順政によるポストロック×エレクトロニカな楽曲がさらに上のフェーズへと移行。Footwork辺りの影響も感じる新しいアプローチ、テクニカルロック、エレクトロニカ、ピアノバラードとそれぞれ振り切ったサウンドを並べる実験的な中盤におもしろみがあります。ジュブナイル的な世界観の歌詞は成人していない少女が歌うからこそ際立ちますし、アイドルがマイナーなジャンルをやっているというだけではない説得力を生み出しています。


そしてPassCode。また彼女たちをピックアップするとは思いませんでした。メジャーデビューが決まりシンプルな曲構成になり少し興味が薄れていましたが、ライブでの再現性を度外視したエクレクティックな曲展開という1stの手法がやや復活しています。完全に懐メロの域になったエレクトロコアを一貫して続け、あの頃のポストハードコアを彷彿とさせつつNu要素を取り入れてアップデート (スラッシーに走るギターとかベタなブレイクダウンとか逆に今誰もやらない)。ラストはエモーショナルなバラードで締めるという、3曲ながら彼女たちの多面性が落とし込まれた素晴らしい内容です。


アイドルがマイナーなジャンルを取り入れるというだけではなにも新しいものが生み出せないということが顕著に現われてしまった今、アイドルという補正を外してもなお一歩先を提示できているグループが良いものを作り上げている印象です。オマージュというおっさんしか喜んでいない手法から早々に離れ新しいものを提示してくれるグループこそ評価されるべきなので、そんなグループがまた他にも現われてくれることを期待してます。