Sol (Local Distance)

STUTSの「夜を使いはたして feat. PUNPEE」が本当に良い曲でずっとリピートしている。クラブ帰りの朝を、"いくつもの夜を使いはたして" と表現したPUNPEEのラップがとても素晴らしい。
だけど "朝焼けを山手線で運んで走る帰路" のところでいつもハッとする。PUNPEEはいつも東京の曲しか歌わないから感情移入出来ずに終わってしまう。ヒップホップの歌詞は共感を得るために書かれていないから当たり前なんだけど。きっと時代を象徴する音楽っていうのはいつもその街で歌われてきた。

 

 

インターネットの音楽好きは地方にしかいなんだって話を少し前にした。自分が楽しめる現場をインターネット上で見つけるしかないから。だけど地方の音楽好きがあらゆる情報を駆使して作り上げたトレンドは、結局東京の現場にすべて奪われていった。Hi-Hi-Whoopeeの終わり方はそれをすべて象徴していたような気がする。
インターネットが現実で加速するのは東京だけだってtofubeatsが言っていた。アンダーグラウンドは東京にしかないんだよって大森靖子が言っていた。それがどっちも正しいってことは東京に住んでいる人よりはわかってる。

 

東京においでよとよく言われる。あと5年早かったらねーといつも笑ってごまかす。その時代の一番おもしろいものはこの街からは生まれない。最先端のアイテムを身に付けてもこの街にいる人は誰も知らない。この街からPitchforkでレビューされる人が出てきても名前すら知られていない。この街では相変わらずハードコアが盛んらしい。ハイブラ着てりゃいいらしい。

 

2年前に出てた曲だけど知らなくて、今ごろJohn GastroのLocal Distanceを聞いた。誰かが言ったインターネット上の言葉を散りばめて作られたその歌詞を読むと泣けないけど泣けてくる。その言葉のうちどれだけがJ/G自身の言葉なのかわからないけれど、インターネットで情報を受け取っていく地方の人間に自分の中から出てきた言葉なんてほとんどない。
本当にそうならいいのにね。本当にそうならいいのにね。ぼくはこの退屈な街で生きていくために今日もインターネットの海で楽しいことを探して、いくつもの夜を使いはたしていく。