Memo.73 (2017 Best Albums)
50.by the end of summer「Laughing e.p.」
[Japan, Emo/MelodicPunk]
京都発ナード系4人組エモ/メロディック バイサマの1st EP。しゃがれたボーカルに泣きのギターというツボを押さえたサウンドでおっさん達を泣かしにかかってくる。「Buzz Lightyear」再生1秒からのエモさは最高。
49.Field Of Forest「Illumination」
[Japan, Progressive/Metalcore]
ライブ活動休止中の浪速のPeripheryことFoFの最新作。テクニカルながら清涼感あるサウンドとキャッチーなメロディというFoF節は健在。それに加え日本語詞の割合も増えてよりどこかアニソンみが増した感じも。ライブ含めた活動が出来ていればもう少し広まっていたのではという思いも。
48.EXID「Eclipse」
[Korea, R&B]
Banana Cultureの5人組による3rd EP。大ヒットした「Night Rather Than Day」や現行EDMライクな「How Why」、終盤のソロ2曲ではアーバンな一面をみせて締めるなどそれぞれ違ったアプローチの曲を揃えた一枚に。フルメンバーでのカムバックが待ち遠しい。
47.あっこゴリラ「GREEN QUEEN」
[Japan, HipHop]
一躍人気のフィメールラッパーとなったあっこゴリラによる2nd EP。全曲でゲストを迎えた構成となっていて、特に「PETENSHI」でのOMSBビーツとメリヤスとの相性の良さを感じさせる。いつしか和製Brasstracksな路線へシフトしたPARKGOLFとの表題曲もGood。
46.電波少女「HEALTH」
[Japan, HipHop]
電波少女メジャーデビュー作。キャッチーなフックとルサンチマンをぶちまけるリリックにしてもゲスト陣にしても、大きく変わることなく今まで続けてきたことを改めて提示するような一枚に。彼らと交流の深いラッパー達によるラストのシャウトや、様々なことを経ても変わらないハシシニハシジメサギという並びは昔からネットラップを追っている人にはグッと来るものがあるはず。
45.sora tob sakana「cocoon ep」
[Japan, Pop/PostRock]
ハイスイノナサ照井順政プロデュースでも話題のオサカナ1st EP。前作からの流れでポストロック/マスロックなアプローチをベースに今回はフューチャーベースやフットワークも取り込んだ意欲作。ポストロックシーンにも存在しない実験的なアプローチとともに、紡がれるジュブナイル的物語を少女たちに歌ってもらう構成は、アイドルを大人の自己満足として完結させない理想的なかたちだ。
44.WOMAN「Nude」
[Japan, PostRock/PostDubstep]
tayutaとThe Sound's Pierrerのメンバーによる新バンドWOMANの1st EP。国内でもミニマルなサウンドが注目を集めている中、ポストロック側からのアプローチが出てきた。ポストロックを出自とするからこその叙情性はインディR&Bのそれとはまったく異なる質感で新鮮に聞こえる。
43.阿佐ヶ谷ロマンティクス「街の色」
[Japan, Pop/Rocksteady]
早稲田大学出身の男女混合6人組バンドの1st。歌謡曲×ロックステディなゆったりとしたサウンドに日常の温かさが詰まったアルバム。レゲエオリエンテッドなサウンドが注目を集める中、こういった解釈で作られた音楽は日本らしさが出ていて良い。
42.Lolica Tonica「Eyes on you」
[Japan, FutureBass/2step]
TREKKIE TRAXからリリースされた「Make Me Feel」がアンセムとなった2人組による最新作。Maltine Recordsからのリリースとなった本作は従来のフューチャーベースと2ステップをクロスオーバーさせた新機軸。フリー。
41.DPR LIVE「Coming To You Live」
[Korea, HipHop]
LIVE改めDPR LIVEとしてのデビュー作 (A$APみたいなコレクティブとのこと)。AOMG勢との「Right Here Right Now」、Crushとの「Laputa」など豪華ゲスト陣に加えお得意のベースミュージック色強いサウンドで一気にネクストブレイクラッパーの仲間入り。
40.PRISTIN「Hi! Pristin」
[Korea, Pop]
PLEDIS Girlz改めPRISTINのデビュー作。「Wee Woo」を筆頭に各曲で韓国らしいジャンルレスなアプローチで楽しませてくれる。シングルクラスの曲たちに続き「Over N Over」で泣かしにかかった後、PLEDIS Girlz時代の「We」で締めるのはずるい。
39.Glen Check「The Glen Check Experience」
[Korea, Electronic/Indie]
K-Popに続き注目を浴びつつある韓国インディシーンから2人組バンドの最新作。「Follow The White Rabbit」を筆頭にエレクトロニカとR&Bを混ぜ合わせたサウンドは現行R&Bとは違ったアプローチで新鮮に聞こえてくる。特殊なシーンが構成されてきたからなのか韓国インディもなかなか目が離せない。
38.GroovyRoom「Everywhere」
[Korea, HipHop]
誰もが一度は耳にしたことのあるフレーズ "Groovy, Everywhere" でお馴染みの印税キングスによるプロデュースアルバム。話題の新人からベテランまでバランス良く客演を招いて韓国の今を詰めた一枚に。Heizeとジェボムを招いた「Sunday」は文句なしの一曲だが、中盤で突如ギリボイ君ビートへとシフトする「Tell Me」が最高すぎる。
37.Sik-K「H.A.L.F (Have.A.Little.Fun)」
[Korea, HipHop]
Jay ParkとCha Cha Maloneが設立したH1GHR MUSICからの第一弾リリースとなったSik-Kの新作。CrushとGroovyRoomという万全の体制で作られた「party (Shut Down)」を筆頭にJay Park、DPR LIVEにWOOGIEなど豪華メンツを揃えた韓国ヒップホップのメインストリームが詰まった一枚。得意のメロウさとトレンド吸収のバランスが素晴らしい。
36.Kamasi Washington「Harmony of Difference」
[UnitedStates, Jazz]
新世代ジャズの象徴的存在とも言えるカマシ最新作。前作の3枚組CDというボリュームと比べれば手が出しやすく……と思いきや1~5曲目までを主題としてそれらを融合した「Truth」で締めるというコンセプチュアルな内容に。来年以降もBrainfeederを中心に動いていくことになりそう。
35.ものんくる「世界はここにしかないって上手に言って」
[Japan, Pop/Jazz]
菊地成孔主宰TABOO所属のポップユニットによる3rd。タイトルからインパクト大な「ここにしかないって言って」を筆頭にジャズをベースにしたポップチューンがずらっと並ぶ。中でも「SUNNYSIDE」ラストの展開が気持ち良すぎる。
34.Nulbarich「Who We Are」
[Japan, AcidJazz]
今年2枚のEPをリリースし新木場2daysもソールドさせるなど勢いに乗るナルバリッチ。本作は夏の夕暮れを意識したかのような清涼感あるサウンドが特徴的。皆が敬遠していたR&Bシンガーがバンドへと形式を変えたことで成功した例は彼らだけなのでは。
33.Scarf & the SuspenderS「Invitation」
[Japan, HipHop]
国内ヒップホップバンドの本命による1st。アッパーな「K.I.K.E」がやはり耳に残るが、続く「スカーフとトワレ」でのキックとベースの入りがクールすぎる。数が増えてきた国内ヒップホップバンドは誰が頭を出してくるのか楽しみだ。
32.The Skateboard Kids「ExExperience」
[Japan, Indie]
前作でtoe美濃氏をエンジニアに迎えたことでも話題となった名古屋の4人組による2nd。先行シングル「Dreamend」を筆頭に音数を削った低体温なサウンドは健在だが、ラスト長尺の「Saihate」ではシューゲイズ的な展開も入れつつ、より叙情性を強調させる新たな一面も見られた。
31.Migos「Culture」
[UnitedStates, HipHop]
ここ数年のラップミュージックのトレンドを牽引するMigosがチャートアクション的にも評価を得たブレイク作。「T-Shirt」「Bad and Boujee」などの大ヒット曲を収録し、特徴的なフロウとコミカルな合いの手で意味がわからずとも楽しく聞ける。宣言通り来年のグラミー獲得なるか注目。
30.Sampha「Process」
[UnitedStates, R&B]
FKA Twigsらを輩出したYoung Turksからのリリースとなったロンドンのシンガーのデビュー作。アルバムを通して温かく包むような、一聴しただけで彼とわかるハスキーな声は「(No One Knows Me) Like the Piano」で優しく、「Blood On Me」では力強く歌われる。個人的にはMacy Grayネタの「Timmy's Prayer」がグッと来た。
29.Red Velvet「Perfect Velvet - The 2nd Album」
[Korea, Pop/R&B]
f(x)なき今、SMのガールズグループとしての看板を背負うことになった彼女たちの2nd。トレンドライクな「I Just」「Peek-A-Boo」辺りはさすがという感じだが、全体的に00年代R&Bを現行ビートでアップデートしたサウンドがSMらしさ溢れている。
28.DispersE「Foreword」
[Portland, Progressive]
Destrageとの来日ツアーも大成功に終わったモダンプログバンドの3rd。ソロでも活動する若きギターヒーローJakub Zyteckiを擁していることも話題だが、ギタープレイをフィーチャーしたメタルというよりもジャズ/フュージョンをも取り込んだプログレッシブなポップスといった印象。特に神秘的なコーラスをサンプリングしたオープニング「Stay」は今年を代表する一曲なのでは。
27.KID FRESINO「Salve」
[Japan, HipHop]
NYから日本へ帰国しFla$hBackS脱退(?)というトピックスも含め今年も騒がせている佐々木の最新作。新たなインスピレーションを得るため全編でゲストを迎えバンドサウンドに手を出した心地よい一枚。茂千代との「by her」で見せるストレートなラブソングまで武器にされたらもう敵なし。本作リリース後にアップされた「Eazy Breezy」も本当に素晴らしかった。ただ坊主は似合ってない。
26.MONYPETZJNKMN「磊」
[Japan, HipHop]
YENTOWNの顔的3人組による初のフルアルバム。チーチ&チョンオマージュな420曲「UP IN SMOKE」や、宇宙感じる浮遊感が凄まじい「SPACY」など、重心の低いChaki Zuluのビートがさらに破壊力を増している。
25.BackWordz「Veracity」
[UnitedStates, NuMetalcore]
Stay Sickからリリースされた黒人ボーカルバンドのデビューフル。「Self Ownership」を筆頭に当時のニューメタルバンドが歌いそうなメロディとメタルコア様式美サウンドを混ぜ、現行の音数を抜いたトラックにオンで乗せたりと随所でただのリバイバルではないアプローチが目立つ良作。国内においてはようやくヒップホップ再ブームとなっている今、この手のサウンドがリバイバルするのは少し早すぎた感も。
24.環ROY「なぎ」
[Japan, HipHop]
KAKATOや蓮沼執太フィルなどの活動を経た4年ぶりの復帰作は、日本語の表現を突き詰めた過去最高のアルバムに。先行公開されていたOBKR & Taquwamiとの「ゆめのあと」からAru-2との「フルコトブミ」への締め方が心地よい。
23.柴田聡子「愛の休日」
[Japan, Pop]
注目の女性SSWによる最新作。くるり岸田繁プロデュースの「ゆべし先輩」「遊んで暮らして」や「大作戦」など独自のセンスの癖になるフレーズが散りばめられたやるせなくも楽しいアルバム。曲が良いというのはもちろんだが、柴田聡子という人間に興味が沸く素敵な一枚。
22.Yunomi「ゆのもきゅ」
[Japan, Kawaii/FutureBass]
ハピくる、CY8ER楽曲プロデュースやTORIENAとのコラボEPもリリースするなど多作な一年となったYunomiのにかもきゅコラボアルバム。Yunomiといえばにかもきゅとのコンビというイメージがあるため正式に音源化はうれしい。何度も言っているが「枕元にゴースト」の "日常はかたちを変えて君をまた彩るでしょう" という歌詞は本当に素晴しい。
21.teto「dystopia」
[Japan, Indie/Punk]
2017年はブレイクバンド不在と言われたりもするほど下火となったことも印象的だが、バンド然としたバンドの中では唯一彼らが結果を残したのでは。ガレージパンク的サウンドにこれでもかという焦燥感を乗せる。特に「暖かい都会から」の "夢が夢で終わらないように目覚まし時計をかけていた" という入りが良すぎる。表面だけ繕ったジェネリックバンドに一発食らわせて欲しい。
20.おいしくるメロンパン「indoor」
[Japan, Rock]
透明感あるロキノン系ハイトーンボーカルに清涼感あるテクニカルな展開をみせていく。時折ブラックミュージック要素を感じさせるがそれも直接影響をうけた訳ではなく今の時代だからこそのものなのだろう。次作でブレイク確定か。
19.BiSH「GiANT KiLLERS」
[Japan, Punk]
Mステ出演や横アリ公演も決まるなど凄まじい勢いでキャパを広げていく新生クソアイドルによる最新作。前作に引き続き松隈サウンドが無敵モードを維持していて、アッパーな「SHARR」「GiANT KiLLERS」からエモーショナルな「プロミスザスター」「My landscape」まで抜群にバランス良い一枚に。結成当初はまさかBiSよりも売れることになるとは思ってもみなかった。
18.Brasstracks「For Those Who Know, Pt. I」
[UnitedStates, FutureBrass]
NYのブラス職人による最新作。「Brownstone」を筆頭に本作も自然と高揚させるブラス使いを武器にしつつ、イントロとアウトロにグラスパー起用という反則技まで繰り出してきた。来年辺りチャートに続々曲を送り出すようになるのでは。Pt.IIが待ち遠しい。
17.Chon「Homey」
[UnitedStates, Progressive/Math/Jazz]
シーン外からも注目を集めるSumerian Record所属インストバンドの最新作。本作でもテクニカルながらも爽やかさ溢れるサウンドが繰り広げられるが、「Nayhoo」ではR&Bテイストを強め、トレンドのビートアプローチをみせる「Feel This Way」「Berry Streets」などより幅広く進化。あまりの心地よさから一部からプログレッシブチルと呼ばれていたりも。
16.D.A.N.「TEMPEST」
[Japan, Electronic/Minimal]
昨年末にリリースされた「SSWB」が多くの注目を集めた4人組による最新EP。ディープハウスからの影響を感じるミニマルなサウンドにスティールパンがキャッチーに響く。海外っぽい音を出すことは簡単で、世界的にも存在しない音を出さなければ埋もれてしまうという自覚の元に作られた音楽はミニマルながらとても攻撃的だ。
15.JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB「OFF THE WALL」
[Japan, HipHop]
目覚ましい活動を続けるOMAKE-CLUBからジャバの最新作。露骨なほどFGからの引用を織り混ぜつつ、この時代だからこそ表現出来るワードチョイスや幅広いバックボーンを感じさせる多様性ある一枚に。ジャケットのMikeLもGood。OMAKE-CLUBが10年代のFGとなるのも近いでは?という誰もが抱いた期待を現実的なものとしてくれた。
14.Special Favorite Music「Royal Blue」
[Japan, Pop]
関西の大所帯ポップバンドによる最新作。柔らかい混声ボーカルと多楽器によるピースフルなサウンドは多幸感がありすぎる。サビが延々と続くような錯覚に陥る「Royal Memories」を筆頭に、聞く人をすべて幸せにするようなサウンドはまさにMagicだ。
13.DATS「Application」
[Japan, Rock/Electronic]
yahyelのメンバーを2人擁することでも知られている4人組のデビューアルバム。バンドサウンドとミニマルなビートミュージックとのクロスオーバーとしてある種の完成形を提示した。音源よりもダンサブルな要素を増やし、最終的にはフロアを巻き込み打楽器を叩くだけのバンドとなるライブはさらに魅力的。
12.PassCode「ZENITH」
[Japan, PostHardcore/EDM]
大阪発EDM+ラウドアイドルによる最新作。メジャー初のアルバムにも関わらず、これまでよりもさらにソリッドに攻めた一枚に。和製アンジェラ・ゴソウの如く叫ぶちゆなのパフォーマンスの向上と、ライブでの再現を度外視したエクレクティックな展開に痺れる。「カタルシス」でのエモーショナルな一面は物語の最中にいる彼女たちの本質でもあり、エモ/スクリーモシーンを通ってきた製作陣のルーツでもあるのだろう。
11.KICK THE CAN CREW「KICK!」
[Japan, HipHop]
センセーショナルだった「千%」でのカムバックは多くの人の青春時代を呼び起こした。各々の過ごした月日を感じさせつつ変わらないキックらしさのあるアルバムは14年の月日を良い意味で感じさせなかった。あの頃の少年はいつしか大人になってまた彼らの新譜を手にしてる。こういった出来事があると年を取るのも悪くないなと、ベタなおっさんみたいなことを思ったりもする。
10.SUSHIBOYS「NIGIRI」
[Japan, HipHop]
今年もっとも注目を集めたラップグループと言っても過言ではない越生の3人組によるデビュー作。「ダンボルギーニ」「軽自動車」など悪ふざけ混じりでアップされる楽曲は、絶妙なネタ感と楽曲完成度でみるみるファンを増やしていった。FARMHOUSEは英語風日本語フロウをアップデートしているし、元Youtuberという特殊な経歴もおもしろい。
09.tofubeats「FANTASY CLUB」
[Japan, Pop/Electronic/HipHop]
良くも悪くも都会と郊外、インターネットと現実という二極化した環境のフラストレーションを吐き出した内省的な最新アルバム。ここ数年ライブのクロージングとしてプレイされていた「BABY」念願の音源化ではあるが、YOUNG JUJUがベストな客演をみせる「LONELY NIGHTS」は間違いなく今年を代表する一曲。
08.Maison book girl「image」
[Japan, Pop]
サクライケンタとコショージメグミを中心として結成された現代音楽+変拍子ポップグループによるメジャー1stアルバム。「faithlessness」「blue light」などのマス向け曲と共に10分超のインストやポエトリーリーディングなどブクガの世界観がよりディープに表現された素晴らしい一枚。バンドシーンとのクロスオーバーも増えてきたが、個人的にはアパレルの本格展開を期待。
07.唾奇 x Sweet William「Jasmine」
[Japan, HipHop]
話題のクルーPitch Odd Mansionから沖縄のラッパー唾奇と名古屋のトラックメイカーSweet Williamによるコラボ作。隠すことなく自らのクソな人柄を表に出した「Made My Day」、注目のシンガーkiki vivi lilyを迎えた「Good Enough」、某曲と同ネタの「白内」など全編メロウでゆったりと聞けるアルバム。「Same As」などから彼らの相性が抜群であることはわかっていたが、ここまでの傑作を作ってくるとは。
06.JJJ「HIKARI」
[Japan, HipHop]
年明けから3ヶ月連続でリリースされたFla$hBackSメンバーのソロ作の中でもJJJのアルバムは頭抜けていた。初っぱなから鋼田テフロンを起用した「BABE」、メロウな「PLACE TO GO」、STICKYを招いた「ORANGE」などなど文句なしの傑作。この3人が揃った曲はもう作られないのだろうか。「2024」が素晴らしすぎるが故に余計にそう思ってしまう。
05.WONK「Castor」
[Japan, ExperimentalSoul]
国内バンドの中で今年もっとも精力的に活動していたのは間違いなく彼ら。共作やコンピ含め4枚のアルバムをリリースしていたが、新機軸ともいえるアッパーな「Gather Round」や新たな代表曲となった「Promise」が収録された本作を一番お気に入り。セッションとして成り立つギリギリのラインでフロアまでピリピリとした空気で包み込むライブは必見。国内も新世代ジャズと呼ばれるバンドが続々出てきているので来年も楽しみ。
04.Eternity Forever「Fantasy EP」
[UnitedStates, Progressive/Soul]
ex-CHON、ex-Dance Gavin Danceのメンバーを擁するドリームバンドのデビューEP。D'AngeloやKendrick Lamarに影響を受けたメンバーによるモダンプログは、ブラックミュージックの心地よさとテクニカルさが混ざり合う最高の一枚に。しかし実質解散状態になってしまったようで本当に残念。
03.HOOLIGANZ「Tune Up Holiday」
[Japan, HipHop]
神奈川の多国籍ユニットHOOLIGANZとThe R.T.L Bandによるヒップホップバンドプロジェクト。「踊りませんか」「Sonomama De ii」「Another Day Goes By Pt.2」など本当に気持ち良い曲が揃った気持ち良いアルバム。特別彼らに思い入れがある訳でもないので、こんなにこのアルバムを聞くことになるとは思わなかった。
02.Lil Peep「Come Over When You're Sober, Pt. 1」
[UnitedStates, HipHop]
21歳という若さでこの世を去ってしまった若きラッパーによるデビュー作。「鬱」がトレンドと言われていたようにXXXTENTACIONらを筆頭にドラッグや自殺がテーマの鬱的な内容をラップするEmo Trapと呼ばれるものが話題になったが、その代表的存在ともいえる彼の訃報はさらにそれを注目させることになってしまった。彼自身のルーツでもあるエモやグランジをベースにしたサウンドは、ラップの内容抜きにしても現行ラップの次を提示していた。ただただ残念。
01.PUNPEE「MODERN TIMES」
[Japan, HipHop]
国内ラップ史上もっともハードルが高いと言われた1stアルバムは、文句なしで今年を代表する一枚だった。未来の自分にクラシック認定させ、一本の映画を見せるような構成など特筆すべきことはいくらでもあるが、何よりも彼のリリックが本当に素晴しい。私的な話になるけれど30という節目を迎えるにあたり一歩先を行く彼の言葉には「Oldies」「タイムマシーンに乗って」「夢のつづき」などで共感するとともに背中を押される気持ちにもなった。去年Somewhereが出たときも思ったが、PUNPEEが1stアルバムを出した時代をリアルタイムで体験できていることが心からうれしい。