Memo.82 (2018 Best Albums (So Far))

30.Ano(t)raks「DIE IN POP」
[Japan, Indie]
シンリズムやevening cinema、最近ではMomも輩出したネットレーベルAno(t)raks久しぶりのコンピ。さとうもか、Faded Old City、I Saw You Yesterday辺りの人気どころから、Bearwear、browned butter、POISEまで今回も外れなしかつ新しい出会いも多数用意した素晴らしいコンピさすがおれたちの小笠原大。

DIE IN POP

DIE IN POP

  • Various Artists
  • ロック
  • ¥2400

 

29.Towkio「WWW.」
[UnitedStates, HipHop]
Chance The Rapper率いるSave Money所属のラッパー最新作。周辺ぽさあるゴスペルライクな展開を持ってきた前半で一気に持っていかれるが、その中でもVic Mensaをフィーチャーした「Forever」が素晴らしかった。しかしTowkioといえば「Heaven Only Knows」がめちゃくちゃ好きだったのを思い出すので、次作ではこの曲も超えるのを作って欲しいなと思ったりも。

WWW.

WWW.

  • Towkio
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1900

 

28.TENDOUJI「BUBBLE POPS」
[Japan, Indie]
SXSW出演でも話題の東京インディ愛されバンドTENDOUJIの3rd EP。「Kids in the dark」を筆頭にローファイ感あるゆるっとしたサウンドながら愉快に踊れる曲をメインに置きつつも、ラスト「June song」が素晴らしくて泣きそうになる。早朝5時から長尺のライブをやってのけたサウクルでの愛されっぷりも微笑ましかった。

BUBBLE POPS - EP

BUBBLE POPS - EP

  • TENDOUJI
  • ロック
  • ¥900

 

27.ヤなことそっとミュート「MIRRORS」
[Japan, Alternative]
グランジ/オルタナなサウンドで話題のヤなミュー2nd。「ルーブルの空」にしても先行EPに収録されていた「Any」「AWAKE」にしても入りのギターからすでに最高だし、「Palette」のまんま90sエモなギターは嫌いな人なんていない。しかしオルタナというよりも00年代エモ/ニュースクール感が強いなと思っていたら「HOLY GRAiL」他2曲でBACKDATE NOVEMBERのYohei Shibata、ラスト「Phantom calling」ではNENGUの馬場庫タロウが作曲しているのを知ってそりゃ良いわってなった。

MIRRORS

MIRRORS

  • ヤなことそっとミュート
  • J-Pop
  • ¥1650

 

26.DJ RYOW「NEW X CLASSIC」
[Japan, HipHop]
名古屋のDJによる10thアルバム。早回しゴスペル感がかなり好みだった唾奇との「all green」に釣られ聞いてみたら現行ストリート寄りラッパー大集合な内容になっていておもしろかった。SALUを迎えた大ネタな「ORERA NO ERA」を筆頭にYENTOWNにBADHOPにWavyまで呼び、ラスト「WHO ARE U?」ではトコナメとパブ朗を疑似共演させたりと硬派なヒップホップを詰め込んだ一枚。

NEW X CLASSIC

NEW X CLASSIC

  • DJ RYOW
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥2100

 

25.春ねむり「春と修羅
[Japan, Rock/Poetry]
Perfect Music所属のシンガーによる初フルアルバム。以前所属していたLOW HIGH WHO?らしいファンタジックな世界観のポエトリーとバンドサウンドを混ぜるとこれほど尖るのかと。独特のワードチョイスや「鳴らして」でのシャウト気味なボーカルは焦燥感溢れていて引き込まれてしまう。色モノ枠かと思っていたけれど一般層にもがっつり刺さるのでは。

春と修羅

春と修羅

  • 春ねむり
  • J-Pop
  • ¥1800

 

24.XXXTENTACION「?」
[UnitedStates, HipHop]
どこから書けばいいかわからないけれど、この最新作が今までの作品で一番好みでよく聞いていた矢先に飛び込んできた訃報はさすがにつらかった。大ヒットした「SAD!」も、スクリームする「Floor 555」も、もはや叙情派ニュースクールのような「Pain = BESTFRIEND」も、今聞くと内省的なラップがさらに重みを増して聞こえてくる。昨年のLil Peepに続き彼もこんな結果になってしまうとは残念でならない。本当にこの流れがトレンドとなることなく日本にも到達しないことを願ってやまない。

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  • XXXTENTACION
  • ポップ
  • ¥1650

 

23.MONDO GROSSO「Attune / Detune」
[Japan, Electronic]
満島ひかりをフィーチャーして話題を呼んだ前作「何度でも新しく生まれる」の続編的アルバム。バンドサウンドだけじゃなくてメロウなエレクトロでもこれだけ歌えるのかと驚かされたBiSHアイナとの「偽りのシンパシー」が本当に素晴しいけれど (アイナはBiSHでできないことに関する才能が特出しすぎてて少し心配になる)、なんだかんだ世代的にはBIG-O (SHAKKAZOMBIE) の "I'm back" を聞いて秒で泣く。

 

22.RIRI「RIRI」
[Japan, Pop/R&B]
話題の現役女子高生シンガーRIRIの1st。前作までは少し楽曲に力が足りないような印象もあったけれど、本作ではトレンドを汲んだリード曲「That's My Baby」「Crush on You」という武器によって日本人離れした歌唱力で押し切るパワータイプの大型新人登場といえるアルバムになった。サウンドや方向性含め圧倒的にぶれないソニーっぽさもなかなかおもしろく感じる。対比するのも無粋かもしれないけれど、より黒くグルーヴィなiriとトレンド直球型な彼女の登場で現行ディーヴァ枠がおもしろくなってきた。

RIRI

RIRI

  • RIRI
  • R&B/ソウル
  • ¥2100

 

21.State Champs「Living Proof」
[UnitedStates, PopPunk]
NYのポップパンクバンド ステチャンの3rd。先行シングル「Dead and Gone」を筆頭に彼らの持ち味であるエネルギッシュな極上メロディはそのままに、「Criminal」などではMark Hoppus (BLINK-182) の手によってポップロック寄りのアプローチにも成功。久しぶりにこの手のジャンルで良いアルバムに出会えたなと。

Living Proof

Living Proof

  • State Champs
  • ロック
  • ¥1200

 

20.Taeyoung Boy × Droittte「SWEAR」
[Japan, HipHop]
MSNのメンバーとしても活動するテヤンボーイとトラックメイカー ドロワットのコラボ作。先行リリースの「Fault」やQNとの「Misty」などベースミュージック色強めなビートがおもしろく、「Land Cruiser」ではLil Peepを彷彿とさせるグランジなビート、「KIRI」ではメロウに仕上げたりと多彩なビートが耳を引く。もちろんテヤンボーイのスムースなラップも良いしニートtokyoのインタビューでみせるキャラクターやビジュアルも申し分ない (良い意味での節操無い感じはH1GHER MUSICに入りたいと公言していたところからも窺える)。KKRick Novaの活動も活発となってきたのでMSNの活動も期待したいところ。

Swear

Swear

  • Taeyoung Boy × Droittte
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1500

 

19.Luby Sparks「Luby Sparks」
[Japan, Indie]
現役大学生5人組インディ/ギターポップバンドによるデビュー作。狙ってる感半端じゃないジャケットから最高だし、自分たちの武器とやりたいことを理解してそのままヴィジュアルに落とし込めている「Thursday」のMVも素晴らしい。イントロからガッツポーズな「Tangerine」などなどネオアコ/シューゲイズっていうトレンド真ん中じゃないところで素晴しいバンドが出てきたなと思ったら本作リリース直後にボーカルが脱退。新体制のボーカルもど真ん中 (ビジュアル的に) なので早くライブを観てみたい。

Luby Sparks

Luby Sparks

 

18.NF Zessho「CURE」
[Japan, HipHop]
Manhattan Recordsからのリリースとなった福岡市早良区在住のラッパー絶招の3rd。プロデューサーにPOMの國枝真太郎、ビートもPOMからSweet William、同郷のlee(asano+ryuhei)やAru-2も招いた万全の態勢での一枚に。ニコラップ時代からの盟友ピャーや雷太をゲストに迎えた「Jenny Gump[Another]」「Blono's Way[Another]」、自らベストヴァースを蹴ったと言う唾奇との「Wonder Child」での締め方は硬派な彼らしくてニヤける。これからも全国でレペゼン早良区を聞かせて欲しい。

CURE

CURE

  • NF Zessho
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1650

 

17.BTS「LOVE YOURSELF 轉 'Tear'」
[Korea, Pop/HipHop]
もはや説明不要なほどティーンからの支持を集めるBTS (防弾少年団) の3rd。個人的にどこか楽曲に力が足りていないように感じた彼らだったが、このアルバムで現行R&Bサウンドを取り入れて大成功。音数を絞ったイントロかららしさ溢れる「FAKE LOVE」、お手本のようなメロウチューン「Love Maze」、途中べたべたなバラードやアンパンマンも織り交ぜつつ最終的にEDMで終わるっていう節操ない韓国っぷりも最高。このアルバムがK-Pop初のビルボード1位を記録という、国をあげた施策がついに実を結んだ2018年もっとも大きなトピックに。世界規模でBTSに続くグループに期待。

 

16.YELLADIGOS「Story Of Indigo」
[Japan, HipHop]
黄色い肌のインディゴチルドレンこと福岡のコレクティブによる新作。フックなしでもぶち上がるバウンシーな「Neo Jungle」に先行リリースされていたチルい「Gold Kush」(いろいろとスレスレ)、同じく福岡在住のkiki vivi lilyを迎えた「Only」などこれまででもっともベストな内容となった作品に。極めつけは親不孝通りのグラフティでもお馴染みBIGIz'MAFIAの宝リミックスで締めるなど最後まで抜け目ない内容に。peavisソロも良かったし福岡ヒップホップが段々おもしろくなってきた。

Story Of Indigo

Story Of Indigo

  • YELLADIGOS
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1800

 

15.Lucie, Too「LUCKY」
[Japan, Pop]
THISTIME RECORDSからリリースされた宇都宮発ガールズポップバンドの1st。MVにもなっている「キミに恋」を筆頭に、どシンプルなコードにどシンプルな曲展開で進む7曲20分のEP。Tシャツにデニムとかではなくブラウスやワンピースを着こなして歌うのは、ごく普通の女子中高生の報われない恋 (声質もどこかHOLiDAYSっぽい)。こういった音が今受け入れられているのもおもしろい。

LUCKY

LUCKY

  • Lucie, Too
  • J-Pop
  • ¥1350

 

14.Kick a Show「The Twelve Love」
[Japan, Soul]
MONDO GROSSOへの客演や最近ではJBFCなどの客演でも話題のY2FUNXのシンガー キッカショウのデビューアルバム。日本では珍しいユーモアを織り交ぜたセクシャルな内容の物語を12曲揃えたコンセプト作。OkadadaやZEN-LA-ROCKといった抜群の相性をみせる客演陣を揃えつつ「Paradiso Disco」でのハム参加は本当に意外だったし、深夜仕様のサウンドの中で一際目立つ「Buchiaga Lit」がぶち上がりすぎる。代表曲「友達以上恋人未満」ももちろん収録。

The Twelve Love

The Twelve Love

  • Kick a Show
  • R&B/ソウル
  • ¥1500

 

13.kZm「DIMENSION」
[Japan, HipHop]
YENTOWNの最年少ラッパーによる1st。Chaki Zuluのビートを筆頭に全体的に重くダウナーなサウンドで統一された一枚。"覆水盆にはNever Come Back" というパンチラインが最高な「WANGAN」、YENTOWNからAwichを迎えた「Sect YEN」「Midnight Suicide」、5lackをもダウナーな世界に引きずり込んだ「Wolves」、また夜中にから騒ぎが始まっちゃうJJJによる「KOKORO」などなどトピックだらけ。そのままダウナーで終わると思いきや、ラストにThe KillersMr. Brightside」ネタの「Dream Chaser」で明るく締めるところがニクい。

DIMENSION

DIMENSION

  • kZm
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥2000

 

12.FIVE NEW OLD「Too Much Is Never Enough」
[Japan, Rock/Pop]
神戸のポップバンドによるメジャー1st。国内でいえばポストI Don't Like Mondays.とでも言うような、ビルボード直系ポップバンドの座を奪いに来る完成度高いアルバムに。「Sunshine」「Ghost In My Place」などの王道チューンに加えて、「By Your Side」ではゴスペルライクなサウンドに手を出したのにはびっくり。ブレイク前夜の踊Foot Works起用にも驚かされた。ZESTONEコンピに曲を提供していたポップパンク路線の頃から知っているだけにどうせならもっとブレイクして欲しい。

Too Much Is Never Enough

Too Much Is Never Enough

  • FIVE NEW OLD
  • ロック
  • ¥2000

 

11.踊Foot Works「odd foot works」
[Japan, HipHop]
今年ブレイクしたバンドで真っ先に浮かぶのが彼ら。ヒップホップともポップとも違う絶妙なバランスのサウンドで一気に駆け上がった4人組の1stフル。各所でかかりまくったキラーチューン「Bebop Kagefumi」を筆頭に、目まぐるしくビートが変わる「NDW」、Orphansライクな「正論」などなど9曲30分弱でコンパクトに駆け抜ける。アーバン或るPecori時代から知っているだけにこのような形でブレイクしたのはびっくり。

odd foot works (2018)

odd foot works (2018)

  • 踊Foot Works
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1600

 

10.Nulbarich「H.O.T」
[Japan, AcidJazz]
おれたちのナルバリッチョ2ndフル。デビュー以降コンスタントにリリースを続ける彼らだが今までで一番意欲的かつ充実した作品になったのでは。先行曲「ain't on the map yet」、前作からの「It's Who We Are」辺りはJQ印なポップスがさらにブラッシュアップされてて言うまでもなく最高だけど、珍しくフロア向けな「Zero Gravity」、ネオソウル「Supernova」、壮大なロックチューンとなった「Heart Like A Pool」などの新機軸がことごとく素晴らしく、今後の展開にも大きな期待を抱かせる一枚に。

H.O.T

H.O.T

  • Nulbarich
  • ロック
  • ¥2100

 

09.パソコン音楽クラブ「DREAM WALK」
[Japan, Electronic]
関西を拠点に活動するDTMユニット初の全国流通盤。マルチネからリリースした「PARK CITY」、「ふめつのこころ」リミックスを経た本作は、90sなシンセ使いが耳に残るキャッチーでノスタルジックな一枚に。トークボックス使いのクールな「Virtual TV」が耳を引くけれど、人気曲「OLDNEWTOWN」再録や「Inner Blue」のノスタルジックなサウンドが泣けてくるし、無人のショッピングモールで流れていそうな「Beyond」からはどこか空虚さも感じる。関西出身という訳ではないが、tofubeats、J/G、ゆnovationなどなど関西から鳴らされる音楽は何故かおれたちの音楽だと思ってしまう。きっとこのアルバムもそんな大事な一枚になる気がしてならない。

DREAM WALK

DREAM WALK

  • パソコン音楽クラブ
  • エレクトロニック
  • ¥1500

 

08.JYOCHO「互いの宇宙 e.p」
[Japan, Progressive/Pop]
ex-宇宙コンビニだいじろーのプロジェクトによる最新作。元々マスロック/ポップスなアプローチをみせた前身バンドでの方向性は維持しつつ、heliotrope猫田ねたこのボーカルやフルートによってさらに繊細で温かいサウンドに。オーケストラルポップ感ある「pure circle」も、90sエモ感ある「ユークリッド」も本当にツボだし、「互いの宇宙」で始まりそれにリンクする「互いの定義」で締める構成も素晴らしい。宇宙コンビニから彼を知っている人はもちろん騒いでいるけれど、アニメ主題歌となったことでもっと広い範囲で (シーンは違えどMaison Book Girl好きなどにも) 評価されることになるであろう素晴しい一枚。

互いの宇宙 e.p

互いの宇宙 e.p

  • JYOCHO
  • J-Pop
  • ¥750

 

07.JABBA DA FOOTBALL CLUB「FUCKING GOOD MILK SHAKE」
[Japan, HipHop]
オマケから1000円でリリースされたジャバ新作。雑念ライクなフックとMVの虜感がモロな「MONKEYS」や話題の菊花賞を迎えた「THINK RICH, LOOK GOOD」、とどめはTempalay革命前夜ネタの「月にタッチ」とトピックスを詰め込みまくったEP。その中でもDJ FUMIYAが作りそうなチル曲「MIDNIGHT GOOD GOOD MOOD」が特にお気に入り。本業?のアパレルにも力を入れ出したり、ギリギリだったグループ名を変更したりと何か大きな動きがあるのかなとか。

FUCKING GOOD MILK SHAKE - EP

FUCKING GOOD MILK SHAKE - EP

  • JABBA DA FOOTBALL CLUB
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥750

 

06.Post Malone「beerbongs & bentleys」
[UnitedStates, HipHop]
Rockstar」が大ヒットしたUSのラッパーによる2nd。ラップアルバムと呼んでいいのか悩ましいほど7割方歌っている (それもR&Bのようなソウルフルな質感ではなくてポップスやカントリーの質感に近い) ため賛否両論を呼んだアルバムではあるが、ポップスとしても非常に完成度の高い一枚。「Psycho」「Paranoid」「Spoil My Night」「Better Now」などあげればキリがないがとにかくフックの気持ち良さが耳に残るし、完全に歌ってるだけの「Stay」が人気を集めているのもおもしろい。彼やLil Peepなど最近の白人ラッパーはビジュアル含めかなりバンドの影響を受けた逸材が多いし、白人ラッパーが今はラップミュージックの濃度を薄めておもしろくしているように感じる。

beerbongs & bentleys

beerbongs & bentleys

  • ポスト・マローン
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1900

 

05.Superorganism「Superorganism」
[UnitedKingdom, Lo-fi/Pop]
18才の日本人Oronoがヴォーカルを務める8人組多国籍ポップカルチャージャンキー集団によるデビュー作。"私のことサイコパスだって思ってるでしょ?" なんて一文から始まる「Something For Your M.I.N.D.」、「Everybody Wants To Be Famous」では "みんな有名になりたいばっかりで恥じらいなんてものはありはしない" なんてチクリと刺してくる俯瞰したコミカルな歌詞がおもしろい。その中でもローファイなサンプリングポップと化した「SPRORGNSM」が最高すぎる。今年も素晴らしいアルバムが多数リリースされたがその中で事件と呼ばれたのは彼女たちくらいかも。

Superorganism

Superorganism

 

04.Sen Morimoto「Cannonball!」
[UnitedKingdom, Pop/Jazz]
シカゴ在住のコンポーザーによるデビューアルバム。アジア最重要レーベル88risingが彼をピックアップしたことでも話題に。サックスを軸に現行ジャズを再構築したような「Cannonball」、「This Is Not」では日本語詞を取り入れつつ後半でアッパーに展開したり、変則的なネオソウル感ある「How It Feel」などどこかポストロックのアプローチに近い部分もあり、そこにベースとしてジャズとヒップホップがあるのかなと。Dirty Projectorsが引き合いに出されるのも納得。とにかくこの最高のタイミングで観れるSummer Sonicが楽しみ。

Cannonball!

Cannonball!

  • Sen Morimoto
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1500

 

03.Tom Misch「Geography」
[UnitedKingdom, Pop/Jazz/HipHop]
2016年に「Crazy Dream」、2017年に「South Of The River」で話題を集めたロンドンの若きコンポーザー/ギタリスト トム・ミシュのデビューフル。J DillaErykah Baduに影響を受けたネオソウル/ニューチャプター系のサウンドをベースに、彼特有のギターフレーズを前面に出して構築した最高のポップスアルバム。サックスをフィーチャーした先行曲「Water Baby」や、合間に軽快なディスコ曲やギターのみのバラードを盛り込んだりと自由な発想で作られた構成がかなり良い (Isn't She Lovelyカバーにもびっくり)。一躍今年の顔的な存在となった彼のライブがSummer Sonicで観られるのが本当に楽しみ。

Geography

Geography

  • Tom Misch
  • エレクトロニック
  • ¥1500

 

02.tipToe.「magic hour」
[Japan, Pop]
"みんなで青春しませんか?" がコンセプトの、等身大センチメンタルアイドルtipToe.の1stフル。メンバーでいられる期間に3年の制約を設けたり、プレゼント用として同じ内容のCDを同封したり、ピアノインストやアンプラグドのリリースなどおもしろい仕掛けを用意しつつも圧倒的な楽曲完成度でノックアウトしてくる。パワーポップ×アイドルソングのような「特別じゃない私の物語」で始まり、エレクトロポップからギターロックまで多彩なサウンドを取り込みつつ一貫してセンチメンタルな質感を維持する。特に「クリームソーダのゆううつ」から「夢日和」までの流れは、(今となっては主流ではなくなった) 王道のポップスが詰まりすぎて悶絶した。家と学校の間の狭い世界、君と私だけで完結する狭い世界。このアルバムで描かれる狭い狭い世界は、広い世界を知ってしまった後も青春のやり残しを続けてしまう大人になれなかった僕たちにはとても眩しい。

magic hour

magic hour

  • tipToe.
  • J-Pop
  • ¥2200

 

01.さとうもか「Lukewarm」
[Japan, Acoustic/Pop]
シンプルに今年一番聞いているアルバムはこれ。入江陽プロデュースの岡山在住女性SSWさとうもかの2nd。「Lukewarm」の "恋をすると人間になっちゃうってママの言ってた事は本当だね" のような突然日常から異世界へ飛ぶような独特の世界観が本当におもしろいし、鶴岡龍 (LUVRAW) をゲストに迎えた「最低な日曜日」での少しファンタジックな淡い描写も素晴らしく、どこか危なっかしいもたっとした歌い方も聞いているうちに心地よくなってくる最高のアコースティックポップアルバム。彼女にとって今の世界は生ぬるくて楽しくないのかもしれないので、どこか遠くへ行ってしまう前にちゃんとライブを観ておかないと。

Lukewarm

Lukewarm

  • さとうもか
  • J-Pop
  • ¥1650