Memo.24 (MIRI From RHYMEBERRY)

ここ数年盛り上がり続け話題に事欠かないアイドルラップシーン。数年前までライムベリーとlyrical schoolがその代表的な存在でしたが、リリスクはシティポップやインターネットを味方につけたプロモーションでいまやゼップクラス。一方ライムベリーはMC HIMEとDJ HIKARUの脱退、そしてサウンドプロデューサーE TICKET PRODUCTIONの撤退に続き、校庭カメラガールツヴァイなどの新世代アイドルラップグループの登場でもう過去の存在になったと個人的には思っていました。しかし今MC MIRIが本筋のヒップホップ方面からも注目される存在として、再び快進撃を起こすのではとますますおもしろい状況になってきました。アイドルラップを名乗るラッパーで、現時点で一番スキルがあるのはMIRIちゃんだと思います。

 

SUPERMCZTOKYO」辺りを今聞けばご察しのような感じですが、彼女に対する印象が変わったのはGOMESSとせのしすたぁまおさんとのフリースタイルセッションでした。韻踏まないスタイルだとしてもメッセージ性を込めたフリースタイルでちゃんと8小節ラップできているのに驚かされます。Alaska Jam/Creepy Nutsハハノシキュウ/R-指定/NDGとのフリースタイルも見どころありです。そのハハノシキュウをラップのディレクションに迎えたのが2015年夏だったそうなので、その一環としてライブでフリースタイルをやるようになったのかもしれないですね。

 

そして出場しただけでもニュースとなった戦極MC BATTLEでの動画も先日アップされていましたがこれが本当に素晴しかった。リスペクトしているSKY-HIを彷彿とさせるアイドルスワッグなラップで互角の勝負を繰り広げました (詳細はハハノシキュウの解説で)。バトル自体は負けてしまいましたが、これをきっかけとして本筋のシーンにも注目される存在となりましたね。

それ以降は音源にもそのスキルが反映されるようになり、アルバムからのリード曲「韻果録」、新曲「Right Here」ではトレンドな音の乗せ方にがなるラップをするなど、彼女なりのラップのフロウというものが出来上がりつつあります。リリスクのminanやコウテカのもるも もるなどうまいラッパーはいますが、ビートに頼らずちゃんとフロウしているラッパーは彼女くらいかなと。そしてガチガチにスキルを高めてきたMIRIちゃんに対しゆるゆるお姫様スタイルなMISAKIちゃんのバランスもばっちりですね。

 

MCバトルに出るフィメールラッパーというのもまだ少数で、そこをアイドルが切り込んでいくというおもしろさもありますし、アイドル同士の (茶番的) ビーフなんかが発生した場合、スキル的には彼女に勝てるラッパーは今のところいないので、その立ち位置を確固たるものにしてもっとシーンを底上げしてもらえたらいいなと。正直今のライムベリーはビートが弱いのでそこの改善も期待しつつ。という感じで。

 

戦極MC BATTLE「K-razy vs MIRI」

■GOMESS feat. MIRI(ライムベリー), まお(せのしすたぁ)「フリースタイルセッション (2015.9.25 新宿LOFT)」