Memo.81 (2018 Best Tracks (So Far))

30.PRODUCE 48「PICK ME」
[Korea/Japan, Pop]
I.O.IとWanna Oneを輩出した人気オーディション番組PRODUCE 101の第3弾。48系グループの参加が発表されやや不安が上回る中発表されたお披露目曲で一気に評判がひっくり返ったのは印象的。耳に残るフレーズ作りとフックのきいたサビはさすが韓国という感じがするが、サビ後の展開はJ-Popテイストを取り入れたようにも感じる。個人的には2番から日本語になる構成がツボだったのでそのバージョンもいずれ収録してもらいたい。センターのHKT48宮脇咲良は韓国でも注目を集めるのは間違いないし、日本のヲタクが韓国のアイドルへ興味を持つきっかけにもなるだろうしかなりWin-Winの企画に仕上がっててさすが秋元康と言わざるをえない。


29.PassCode「Ray」
[Japan, Electronic/PostHardcore]
大阪発EDM+ラウドアイドルによる最新曲。前作「ZENITH」がソリッドすぎてやや方向性が心配になったものの、今回のシングルではアッパーながらもクライマックス感のあるエモーショナルな一曲に仕上げてきた。トレンドをガン無視し頑なにエレクトロコアを貫く姿勢に清々しさも感じる。


28.The Internet「Roll (Burbank Funk)」
[UnitedStates, HipHop/Funk]
「Ego Death」リリース以降ソロ活動がメインとなっていたThe Internetの7月リリース予定のアルバム「Hive Mind」からの先行曲。ヒップホップをベースにしつつもソウルフルな楽曲が主軸のイメージだった彼女たちだが、今回はややクラシカルなファンクをフィーチャーした一曲に。アルバムが待ち遠しすぎる。


27.Snoop Dogg「Words Are Few (feat. B Slade)」
[UnitedStates, HipHop]
スヌープ最新作のゴスペルアルバムから。32曲2時間15分のアルバムはさすがにちゃんと聞いていないけれど、その中でラストを飾るこの曲は特にキャッチーで多幸感ある曲に仕上がっていた。恐らくチャンス周辺から始まったゴスペルライクなヒップホップもとうとうここまでたどり着いたのでこのトレンドも終焉しそう。


26.MOMOLAND「Bboom Bboom」
[Korea, Pop]
今年のK-Popはこの曲から始まった。スカをベースとしてネタ的にTrapを盛り込んだサウンドに、特徴的なダンスとともにプムプム旋風を巻き起こした9人組ガールズグループの大ブレイク曲。そのままの勢いで日本デビューも果たし一躍今年の顔的なグループに。


25.MØ「Nostalgia」
[Denmark, Electronic/Pop]
Major Lazer & DJ Snake「Lean On」にフィーチャーされたことでも知られているデンマークの女性SSW MØ (ムー) の最新シングル。トロピカルテイストなサウンドにリバーブ強めなフックが印象的な一曲。今年の夏はこの曲を野外でたくさん聞きたい。


24.HYOLYN「Dally (feat. Gray)」
[Korea, R&B]
元SISTERヒョリンがGrayをプロデュースとゲストに迎えた最新曲。Grayの手腕によるアッパーなトラックとセクシーなダンスでイメージチェンジに成功した一曲。


23.Hoody「Golden (feat. Jay Park)」
[Korea, Soul]
Jay Park主宰AOMG所属の紅一点Hoody嬢の最新曲。シンプルなビートに独特の低体温な歌声が乗ることで最後まで一定のテンションで進む気持ちいい一曲。


22.THE CARTERS「APESHIT」
[UnitedStates, HipHop]
JAY-Z & BEYONCEのカーター夫妻によるコラボアルバム「EVERYTHING IS LOVE」から。Pharrell Williamsプロデュースのビートにカーター夫妻がラップを乗せ、Migosがガヤを入れるという完璧な布陣で作られた一曲。アルバムを通してBEYONCEの器用さに驚かされたし、オールドスクールなビートが来た時のJAY-Zのイキイキっぷりに少しわらった。


21.Drake「Nice For What」
[UnitedStates, HipHop]
先日最新アルバム「Scorpion」をリリースしたDrakeの最新シングル。Lauryn HillEx-Factor」を大胆に下敷きにした構成で話題を呼んだ。Drakeにしてはかなりマスに寄せてきた印象のこの曲で相変わらずビルボードチャート独走。


20.D.A.N.「Chance」
[Japan, Minimal]
ジャパニーズミニマルメロウD.A.N.新曲。メロを前面に打ち出しつつ浮遊感ある音像で深海へ引きずり込むような心地良さが印象的。アルバムリリース前にツアーを行っていたため早くアルバムが聞きたくて仕方ない。しかしこの先数年は語り継がれるだろうと言われた「SSWB」から1年でこんな曲を作り上げてくるとは……。


19.CBS「Stay Up All Night」
[Japan, HipHop]
マイペースな活動を続けていたPistachio Studio所属のラップグループCBS最新曲。メンバーでもある%Cがchelmicoやオマケ周辺で活動していることも影響してか、ビートはジャジーなままフックでは歌っていたりとキャッチーに振り切った新しい一面を感じさせる。昔からフリーで楽しませてもらっているだけにもっと多くの人に届いて欲しい。


18.JJJ「MIND (yefreestyle) ft KID FRESINO」
[Japan, HipHop]
Kanye West「No Mistake」に2人がFebbに向けて書いた歌詞を乗せた一曲。Febbの悲しいニュースを踏まえた上で聞くとさすがに心を揺すぶられる。佐々木はFla$hBackS離脱の際に「Eazy Breezy」でもエモーショナルな一面を見せていたし、本人にとってつらい出来事もすべて音楽に反映できる強さが頼もしくもあり心配にもなってしまう。


17.iri「Corner」
[Japan, Soul]
逗子在住の女性シンガーによる最新アルバム「Juice」の先行シングル。Tokyo RecordingsのOBKR/Yaffleコンビによるプロデュースで、彼女のスモーキーで低体温な歌声をダンサブルにうまくディレクション。日ごとに注目を増す彼女ではあるが、ディレクション次第でかなり振り幅が大きいのでコンセプチュアルな作品や客演での表情もみたいところ。彼女も出演した福岡岩田屋でのWHITE PARTY~EPISTROPH NIGHTは本当に素晴しいイベントだった。


16.Aiobahn「過ぎゆく日と君へ (feat. Nayuta)」
[Korea, Electronic/Pop]
Yunomiとのコラボでも知られている韓国のプロデューサがSSW/声優のnayutaをゲストに迎えた一曲。Aiobahnお得意の和テイストなシンセに、nayutaによって綴られる青春マンガのようなストーリー。さすがにこれは胸に来る。


15.AmPm「This Mess (feat. Michael Kaneko)」
[Japan, Electronic]
国内ではほぼ無名のままSpotifyで数千万再生されたことや、Galantisの来日公演サポートなどで注目を集める覆面クリエイティブユニットAmPm (アムパム) のシングル。トレンド感あるFuture Bass以降のビートと盟友ともいえるSSWマイケルカネコによる甘い歌声が気持ち良い一曲。もう10枚目のシングルなのにアルバムという形式でリリースを行わないのもSpotify世代的な戦略か。


14.ハッピーくるくる「グリーングリーン
[Japan, FutureBass]
Yunomiがサウンドプロデュースを手掛ける2人組アイドルによる配信限定シングルから。Yunomiと言えばKawaii Future Bassのイメージだがこの曲では珍しくアコースティックギターから入り唐突にBrostepな展開を入れるなどFuture Bassの次を模索するようなサウンドに。さらにそこにYunomi特有のファンタジックでエモーショナルな歌詞が綴られる。そんなの良くならないわけがない。


13.A$AP Rocky「A$AP Forever (feat. Moby)」
[UnitedStates, HipHop]
フラッコ氏がWIRED MUSIC FESTIVALの出演をキャンセルしてまで (?) リリースしたアルバム先行曲。MobyPorcelain」まんま使いのビートと後半の転調が気持ち良すぎて悶絶するこれはWIREDキャンセルも許してしまうレベル。先述したDrakeの新曲「Nice For What」も大ネタ使いで後半に転調が入るという同じ手法で作られていてトレンド化するかと思いきや特に続かず。


12.Jay Rock, Kendrick Lamar, Future & James Blake「King's Dead」
[UnitedStates, HipHop]
ブラックカルチャーを押し出し話題となったMARVEL映画「Black Panther」サントラからの先行シングル。Futureの "La di da di da~" が地味に流行ったり後半の転調で無敵モードに入るKendrick Lamarなどトピックスが詰め込まれた一曲。個人的にこの曲で2018年が始まった。


11.TOCCHI「これだけで十分なのに」
[Japan, Pop]
北海道のシンガーによる1stから。唾奇がピックアップしたことでも話題だが、歌とラップを行き来しながら歌われる "足るを知る" メッセージは普遍的な内容ではあるもの今の時代に聞くと改めてフィットする。Momなどラップをベースとしつつ自由な歌唱法で表現するシンガーが増えたのも今年のおもしろい傾向。


10.SIRUP「LOOP」
[Japan, Soul]
小袋成彬率いるTokyo Recordingsによって見いだされたシンガー/ラッパーの最新曲 (名前はSing & Rapの造語とのこと)。前作「Synapse」の「Last Lover」で見せたメロウなサウンドからさらに深みを感じさせる一曲に。みなとみらいのGOOD DAY PARKで観たライブも素晴らしかった。


09.Mahalia「I Wish I Missed My Ex」
[UnitedKingdom, Soul]
UKのSSWによる最新曲。ゴスペルライクな入りから始まりサックスを取り入れたトラックまで、Chance The Rapper/Brasstracks以降のテイストを取り入れた曲としてここまでの完成度で作り上げたのはこの曲くらいなのでは。シカゴから少し遠い地でこのサウンドをポップスとして鳴らす案配にUKっぽさを感じる。


08.LambC「Turnin' (feat. Se.A)」
[Korea, Soul]
期待の韓国インディバンドのレムシによる最新シングルから。毎回外さない彼ららしく今回も女性SSWセアとの絡みもありつつ特筆することもなくただただ気持ちいい一曲に。昨年からコンスタントにシングルをリリースしていて本作で4枚目なのでぼちぼちアルバムも期待したいところ。K-Popが世界的なムーブメントとなっている今、オルタナティブK-Popにもぼちぼち注目が集まって来るかなと。


07.夢みるアドレセンス「プラスチックガール」
[Japan, Pop/Electronic]
ティーンモデルを揃えた圧倒的ビジュアルレベルの高さで人気の夢アド最新シングルから。ねごと蒼山幸子によるFuture Bass感あるキュートな一曲はカップリングにしておくにはもったいない。ビジュアルの高さばかり注目されてしまうものの、以前から三浦康嗣を起用したりとカップリングではかなり楽曲寄りに攻めるスタンスもGood。


06.EXID「Lady」
[Korea, Pop/NewJackSwing]
毎回楽曲的に楽しませてくれるEXIDが新曲で取り入れたのはNew Jack Swing。これまでも韓国では一部でNJSが流行り続けていたけれど、「Finesse」の影響もありここぞとばかりにビジュアル含めNJSを押し出したこの曲でメインのトレンドへと持ち上がった。上半期のK-PopはMOMOLANDで始まりEXIDで楽曲派が沸きPRODUCE48が話題をかっさらっていった印象。


05.ロースケイ「かなり恋っぽい (feat. アベカワ)」
[Japan, Pop]
プロデューサー/シンガーのロースケイとアベカワの最新コラボ曲。思わず心踊り出したくなるサウンドに男女ボーカルの甘酸っぱいかけ合いまで含めかなり恋っぽい一曲。「FRIDAY」「ある日の窓辺」などの曲も後追いで聞いたがどれも愛しくなる楽曲ばかり。1000000回は再生されて欲しい。


04.88rising「Midsummer Madness (feat. Joji, Rich Brian, Higher Brothers & AUGUST 08)」
[Asia, HipHop]
Keith Apeなどのフックアップでアジア音楽シーンの最重要レーベルとなっている88risingのポッセカット (死語?)。88risingと言えばHigher BrothersやRich BrianなどTrapのイメージが強いが、本作では夏の夕暮れをイメージさせるメロウな一曲に。これまで知らなかったJojiのフックが心地よすぎる。クルー名義でのアルバムも期待したいところ。


03.週末CITY PLAY BOYZ「First Love CCS Remix」
[Japan, HipHop]
デザインチームCheap Cheese ShopやFWISでの個展も話題を呼んでいるpen public擁する福岡の4人組ラップグループによる宇多田ヒカル同曲リミックス。まんま歌うだけのネタ曲かと思いきや2verseでのビートチェンジがクール。ノリでFirst Loveのアパレルまで作るクリエイティブさもおもしろい。他の曲もUMBROを題材にしたりと楽曲完成度の高さと好きなものについておもしろおかしくラップするゆるさも含め、OMAKE-CLUBとかからのリリースもあるのでは。個人的に今福岡で一番おもしろいのは彼ら。


02.maco marets & Rick Nova「CYAN (illmore Remix)」
[Japan, HipHop]
福岡出身のラッパーmaco maretsがRick Novaとの連名で昨年末リリースしたシングルのリミックス。ドラムを組み替えシンセを前面に出すことによりキャッチーさと浮遊感を増すことに成功したChilly Sourceのイルモアの手腕はさすが。夏前にリリースとアナウンスされていたmaco maretsのアルバムが早く聞きたくてたまらないのだが (煽り)。


01.ゆnovation「ある程度ある」
[Japan, Pop]
072北摂在住のトラックメイカー/鍵盤ハーモニカ奏者がパーフェクトミュージック内レーベルAir the rooMからリリースしたEPより。「生活者の声」で彼女と出会ったこともあり現代の等身大なリリシズムに魅力を感じていたが、この曲では「Local Distance」~「SHOPPINGMALL」に続く地方とインターネットのフラストレーションを言語化した素晴しい一曲に。ないものがない都会ではなく、ある程度ある地方で生きるということをある種の覚悟とともに描く。住む場所は違えど同じく地方在住者として強く心に残った一曲。