Memo.51 (2016 K-Pop Trending Topics)

今年は個人的にK-Popの年でした。tofubeatsを筆頭に国内アーティストがK-Popの音楽性を高く評価していることやHipHopシーンで日韓コラボが増えてきたこともあり、じわじわと聞き手の間でも広がってきています。少し長いですが今年よく聞いたアーティストを中心に備忘録含め雑感を。


SM ENTERTAINMENT
個人的にK-Popを聞くようになったきっかけはf(x)「4 Walls」で、LDN NoiseによるFuture Houseをチャートインポップに仕上げるセンスとリアクションの早さに驚かされました。K-Popがサウンド面で再び全盛期を迎えたアルバムだと言われているのも納得。そのf(x)が所属するSM ENTERTAINMENTは特にトレンドを取り入れる早さが圧倒的で、SMとLDN Noiseが今のトレンドを作っていると言っても過言ではないレベルです。


今年だとEXO、少女時代TAEYEONSHINeeのアルバムが充実していました。LDN Noiseが大半をプロデュースしたEXOのアルバムはフューチャー系サウンドと元来のメロウなR&Bを混ぜ合わせた最高水準の一枚。テヨンのEPはLDN Noiseと人気シンガーDeanを迎えTropical Houseやゴスペル的展開を取り入れていました。SHINeeはリード曲でNew Jack Swingを取り入れ、TAEMINJONGHYUNソロではさらに攻めたサウンドを展開。特にテミン「Drip Drop」K-Popの次を提示する素晴らしい曲でした。
他にもRed VelvetNCTTiffanyLunaなどなど本当に多作かつ高水準の作品を届けてくれたSM帝国万歳。すでに長いですが、他のグループにも少し触れてみます。



■Female Group
新世代ガールズグループと称して特集が組まれるほど盛り上がっていますが、今年はTWICEGFRIENDの2強。「CHEER UP」と「Rough」の2曲が各チャートで年間トップを争っている状況です。それに続くのが先述したRed VelvetBLACKPINKI.O.I辺りですかね。BLACKPINK2NE1以来のYGから出るガールズグループということで話題でしたが「Whistle」でUSチャート上昇前のチルビルを取り入れたアプローチには驚かされました。I.O.Iはノムノムノムって感じです。


その上の世代だとMAMAMOOStellarLADIES' CODE辺りが楽曲の良さで頭抜けていた印象。MAMAMOOは文句なしでK-Popベストアルバム。StellarはめっちゃエロいですしLADIES' CODEは続ける重みがしっとりとした楽曲に乗っかる印象すら受けました。
そして外せないのがベテランのWonder Girls。「Why So Lonely」でレゲエブームに火をつけ、そこからGFRIENDOH MY GIRLへと続いていきました。DrakeRihannaが取り入れたレゲエの波はまだ続きそうなので来年の夏またワンガがキラーチューンを落とせばおもしろくなりそうです。



■Male Group
男性グループはまずYG ENTERTAINMENT。T.O.Pの兵役を控え活動的だったBIGBANG完全に稼ぎに来てましたね。「FXXK IT」でFuture Bass感あるサウンドを取り入れたのはさすが。iKONWINNERは日本でも人気ですが、特にiKONバビWINNERミノによるヒップホップユニットMOBBインパクトありました。Block BZICOBTSRAP MONSTERなどアイドル出自のラッパーがちゃんと評価される土壌があるのは素晴らしいですね (日本だとSKY-HIくらい)。


YG以外だと今年はBig HitのBTS、JYPのGOT7、PledisのSEVENTEENが大活躍。3組ともHipHop/R&Bをベースに、トレンドどうこうではなくポップスとしての強度を感じるサウンドに仕上げているイメージ。その後ろにMONSTA Xとかが来てるのかなという印象です。



HipHop / R&B
日本でもWOOFINで特集が組まれるほど注目度が高まっているK-HipHop。オーディション番組SHOW ME THE MONEYの影響もありそれを出自としたラッパーが特に人気のようです。本当に要注目なMCが多いので羅列していくと、SMTM4優勝者BASICK、SMTM5優勝者BewhY、プロデューサーとしても活動するGIRIBOY、Yellow MobのリーダーSIK-K、BASICKと同じくJiggy Fellaz出身のInnoVatorSLEEPY、BIGBANGへの口撃も話題を呼んだIRONなどなど。ここらへんのMCは本当に素晴しい曲が多く「2016 Best Tracks」でもピックアップしているのでぜひ。


SMTM出自以外ではClub Eskimoが大活躍。デビューEPリリースに客演王としても引っ張りだこのDean、EP2枚にシングル4枚と多作なCrush、YG傘下のHIGHGRNDからデビューしたPunchnellooffonoffなどが集まったコレクティブClub Eskimoは引き続き要注目。AOMGJay ParkPurpose的サウンドとメロウチューンを詰め込んだアルバムのリリースに、KirinとのコラボでNew Jack Swingを取り入れるトレンドメイカーっぷり。

 

Keith ApeOkasianは日本のシーンも巻き込み来日公演を成功させるなど日韓ヒップホップの壁がなくなってきているのも良い傾向だなと。その中でJinmenusagiが話題にしたnaflaにも日本のMCとの絡みを期待したいところです。Tropical Houseをいち早く持ってきたCSP、ゴスペル感あるサウンドをパロディ感なしで作り上げたpH-1は本当に流石韓国という感じで。フィメールMCはUnpretty Rapstar出自のKisumHeizeがどちらも素晴らしいデビューEPをリリース。多すぎて駆け足になってしまいましたがこんな感じかと。



■Other
その他ではポップデュオBolbbalgan4が「Galaxy」で大ブレイクし、カムバックしたAKMUもチャートキル。


韓国ではバンドがサブカルと言われるようにあまり情報が入ってこないんですが、その中でも来日公演が大成功に終わったhyukohが日本でもブレイク間近。wetterFantastic Drugstore辺りは日本のシティポップ辺りともリンクしそうです。ヒョゴと同じくHIGHGRND所属The Black SkirtsもIndie Pop/Shoegazeなサウンド、JAMBINAIも国楽Post Rockなサウンドで国内外から注目を集めていますし、全体数は少ないもののコアなジャンルも押さえられているところが韓国のおもしろいところだなと。


今年聞いたアーティストをざっと羅列したので思いの外長くなってしまいました。それでも全然網羅出来てないですしまだ聞き始めて1年弱なのでそこは広い心でm(__)m
当初はUSトレンドに対するリアクションの早さという面におもしろさを感じていたのですが、いろいろと聞き始めるうちにトレンドの先を行っている部分や別の道を独自に進んでいる部分もあったりしてK-Popの底知れなさを感じています。それでもまだ進んで聞いている人が少ないので情報源のひとつとなれればと思います。ただ周囲のK-Pop好きな人と話してもメンバーやペンミの話になってついていけなくなるので来年は音楽以外の面も掘ります頑張ります……。